日米潜水艦戦-第三の原爆搭載艦撃沈艦長の遺稿-

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「雷撃深度一九・五」、及び映画「真夏のオリオン」のベースになった日本海軍潜水艦の艦長、橋本以行さんの体験記録を手にしました(光人社NF文庫)。実際にはインディアナポリス撃沈は決して「息詰まる」ものでも「体力と知力を尽くした戦い」でもないことを再確認しました。(もちろん、平和ボケの僕にそういうことを言う資格は無いのですが)

真珠湾(の特殊潜航艇)、回天などに関わってきた著者の体験は圧倒的で、それを何かしらの形で凝縮しようとすると・・・・。ただ、映画のあらすじを読んだかぎりでは勘違いされたままで終わるような気がしてなりません。

軍事法廷で撃沈直前のインディアナポリスの動きについて証言する場面。やはりインディアナポリス艦長への責任転化の傾向があったかな、という印象。(以前挙げたインディアナポリス関連の書を読むと、誘導にもかかわらず検察側の意図する方向の証言を行わない橋本元艦長に、敵側であったのにもかかわらず元のインディ乗組員は好感を持ったというような記述が、確か有りました。本書にも飄々とした艦長の人柄が伺えるような気がします。)

・軍事法廷出席の途中、ハワイの飛行場で日系人らしい老婦人に「いま、東京から来たばかりだ。ハワイの日本人はどうしておりますか」と話しかけたところ・・・(以下引用)

「非常に日本のことが心配だ。東京やあちらこちらが焼けて、日本の大きな軍艦がなくなったということだが本当か。米側は日本が敗けたと宣伝するが、敗けてはおらないだろう。日本へ行っている米軍は、日本の復興の手伝いに行っているんだろう?」というので返答に窮した。(以上引用終わり)

うーん。このとき、昭和20年12月8日。ちょうど四年前に橋本艦長は水雷長としてオアフ沖合いに居たわけです。

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