マウイの神社

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本当はこの時期なのですからオバマさんのこと、大統領選挙のこと、あるいは亡くなったオバマさんのお祖母さんのことについて触れるべきなのかもしれませんが、ろくなこと思いつきません。

新聞報道で気になったのが、スターブレィティン紙のこの見出し「Advertiser opts not to endorse any candidate for president」アドバタイザー紙の態度表明を挙げて論評する、というの珍しいような気がするのですが。

さて、大統領選はひとまずおいて、またホノルル・マガジン11月号から。記事に「9 Most Endangered Historic Sites in Hawaii」というタイトルのものがあって、ハワイにおける『存続が危ぶまれる九つの歴史的価値ある建造物、場所』が紹介されています。そのなかで、マウイ島の神社が挙げられていたので、にわか神社ウォッチャー、浅海は俄然興味を持ってしまいました。

その神社とはマウイ島に唯一残る馬哇神社のことで、後継者の不在、建物の老朽化から存続が危ぶまれているとのこと。ワイルクの近く、地図で見ると婦人の胸像に似ているマウイ島の後頭部、海に近い場所に位置し、海風のダメージも大きいか、と推測します。しかも神社ですからね、通常の大工の技術では修復も難しいでしょう。

この神社に興味をもってインターネットを検索していましたら、国学院大学神道文化学教授、井上順孝さんのサイトに行き当たりました。ご自身の著作『海を渡った日本宗教―移民社会の内と外―』を全文公開してくださっていて、そのなかで馬哇神社を詳しく紹介なさっているのです。

面白いのはこの馬哇神社、第一次世界大戦参戦の翌年に創立されたもので、「建設趣意書」には『馬哇神社ハ馬哇島在留日本帝国臣民ヲ以テ氏子トス』とあったそうで、いやはや、戦中戦後のあの状況のなかで、よくぞ残ったものだという気持ちになります。世界大戦中の扱いや現代ハワイの社会における神社の位置づけは井上教授の先の著書に詳しく、大変面白く読ませて頂きました。以前の書き込みで後藤明さんが布哇大神宮の祝詞にふれられたことにも言及されていますし、こじつけになってしまいますが、賭け事への許容性にも結び付けられるような情景描写もあります。さまざまな意味で示唆に富むものでした。えらそうに書きましたが、読んだのはまだ布哇に関係する箇所のみ、全体をゆっくり読ませて頂こうと思います。

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