「ハワイの暗黒」

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「ハワイの暗黒」、受け取って手元においてあります。今回、実物を手にするのも初めてですが、表紙を目にするのも初めて。書店で目にしても手に取らないだろうなと思わせるくらい暗い印象の表紙でした。(ちょっと斜めになってしまいましたが、書影を下に示します。下手なホラーよりも怖いです。)

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後味の悪い事件であるのは判っているのですから、深追いしなければよいのに、と自分でも思いつつ・・。途中ではありますが、思うことを。以前にはタリア・マッシーに侮蔑の気持ちしかもてなかったのですが、ちょっと変わってきました。彼女の最初にとった行動は、そのばしのぎの嘘でしかなかったのでしょう。夫と周囲をごまかせればよかったはずの嘘。それが偶然と当時のハワイの状況などが小さく収めることを許さず、坂道を転がり落ちる雪だるまのごとく大きく、より悲惨な事件へつながっていきます。彼女は彼女なりに苦しんだのではないでしょうか。(そうでなければ人間とは思えない。)

訳を担当された平井イサクさんのあとがきにこうあります。

訳出にあたって、われわれ日本人にはあまり興味のない部分は削りました。また、原文はレトリックの遊びの多い、息の長い文章ですが、読みやすくするために、かなり手を入れています。

たしかに苦労されたのであろうなあ、という印象を。ただ、削られた箇所にもなにかしら事件を考える重要な箇所があるかもしれず・・。本書の刊行時から比べればハワイ文化、歴史への関心はより深まっており、力があったら原著と比べるようなことをしてみたい、と考えています。

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