ミレイの絵画の危うさ

Pocket

ミレイ展での書き込みで、触れたいことがあったのですが、その内容を確認することができませんでした。

一つ前の書き込みにあるとおり、浅海の記憶力はひどいもんで、完璧に忘れ去ってしまったり、都合よくあるいは面白い方向に捻じ曲げたりする傾向にあります。(自分は東京オリンピックのマラソンでアベベが裸足で走っていたのを見たと思っていましたが、事実はアベベは靴をはいていました。これを知ったときはショックでしたね。自分の記憶がまったく信用できましぇん)

皆さんはジョン・グールドという鳥類学者をご存知でしょうか。ジョン・グールドはミレイとほぼ同時代のイギリス19世紀の鳥類学者で大変美しい図鑑を後世に残しています。

鳥人ジョン・グールドの世界

たしか、「ジョン・グールド鳥人伝説」という本を読んだとき、次のような記述を読んだ記憶があるのです。

ミレイは晩年のジョン・グールドにインスパイアされて絵を描いた。その絵とはベッドから手に止まった鳥を子供達とともに眺めている温和な老人の絵であった。ところがその絵の中の老人の顔は実際のジョン・グールドとは似ておらず、ミレイがイメージに近いと考えた別人の顔となっている。

これが本当にそういう記述だったか、手元の本を探したのですが「ジョン・グールド鳥人伝説」が見つかりません。まったくの記憶違いであれば申し訳ないのですが、当時、ミレイとその彼の描く絵を好ましく思っていた僕はこのエピソードに嫌悪感を覚えた記憶があります。

もし、お手元に図録がある方は153ページに掲載されている「情熱の支配」という絵を見てください。このページの記述にあるとおり、実際には老鳥類学者に扮した友人のトマス・オールダム・バーロウを描いているんですね。

いや、ジョン・グールドを描いたとしているわけではないのですから、問題は無いのですよ。でも・・・、なんかね。

情熱の支配
情熱の支配

描かれている鳥がミレイらしく細密で現物に忠実であるがゆえに余計、なにかだまされているかのような不快感があるのです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です