ディジタル・アーカイブの恩恵と憂鬱

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最近になって思いがけず祖父に関する資料をインターネットで見つけることが出来ました。

一つは神戸大学附属図書館内の新聞記事文庫。インターネットから利用できる新聞記事の検索ツールとしては本当に有り難いものです。その膨大な切り抜きの登録作業だけでも気が遠くなる作業でしょう。

現在まで登録、公開されているものに、祖父が発信したと思われる記事が二つあることに気が付きました。いずれも「国民新聞」の記事です。

一つは浅海庄一の署名記事。アメリカ本国の婦人参政権に対する論説を紹介しながら自身の見解も反映されているようです。現代人の眼からするとかなり違和感がありますが。昭和4年の記事です。タイトルは「懐疑期に面せる米国の婦人参政権 (上・下) : 政界を脅かす一大陰影」

もう一つは誤植?で「浅海特置員ホノルル発」となっています。タイトルは「十年間に見積って八十億円が弗の国から流出 : 在住移民から本国への送金」。同様にアメリカ本国の新聞論説を紹介した形になっています。ここで紹介されている金額をみるとイタリア、ギリシャ、中国に比べれば日本移民の日本への送金額は少ない。ただし、当時はそういった送金に対する批判的論調があったことがわかります。

今までごく一部の祖父の記事、文章に触れてこなかった身にとっては自宅に居ながらにしてこのように貴重な資料に接することが出来るのは本当に有り難いことです。

一方、検索のむずかしさも感じてしまいます。フルネームで掲載されているものは良いとして、二番目は浅海特置員となっていて・・・。単純に「浅海」だけでは水産業などの記事もヒットしてしまうので、ホノルルとかハワイなど検索ワードの組み合わせ、記載新聞名などを観ながら絞り込んでいかなくてはいけません。それは、それで面白いのですが。

もう一つ、今年も2月19日前後にはルーズベルト大統領の「大統領令9066号」に関する記事が目立ちましたね。僕も少し刺激されて、いろいろ検索をかけてみたところ、今まで気が付かなかった情報にヒットしました。キャンプ・マッコイに収容されていた人々の名簿なのです。

University of Wisconsin Digital Collectionsの中に「Alien enemies-IDs, German personal statement
1942」というSourceの一部として掲載されています。

名簿について言えば、以前、キャンプ・マッコイについて触れたようにハワイ出身の人物が多いことに気づかされます。記載情報は氏名、シリアルナンバー(管理するのに必要とは思いますが、登録される身になってみると・・・)、移送元のキャンプ名など。

今回、情報への直リンクを躊躇わせたのは、収容前に居住していた住所の記載があるから。ここに記載された方の親族の方にとっては複雑な気持ちにさせるかも。もちろん、当時の親族、知人の情報を求める人には貴重な材料ですが。悩ましいことです。

真珠湾攻撃に特殊潜航艇で参加し、戦時捕虜となった坂巻和夫さんのお名前も掲載されています。もちろん、坂巻さんについてはこの名簿以外にも資料が登録されていますので、興味あるかたは検索をお試しください。

さて、名簿に戻ると文書のタイトルどおりドイツ系と思われる名前が多く掲載されています。この中には祖父と同様にクリスタル・シティの収容所に送られ、そこで家族と再会した人が多く含まれていると思われます。

名簿以外にも安直なコメントが難しい、心が痛むような記録が残されています。戦時中の記録に興味有る方は注意深く検索をお試しください。

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