The Third Generation in Hawaii: Memoirs of Rev. Henry P. Judd, Hawaii

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今ではハワイ語の辞書といえばプクイさんの辞書が定番ですが、ハンディなタイプの辞書であれば今回取り上げるヘンリー・ジャッド、Henry Juddが編纂者として名前の挙がっている辞書がまだ書店に並んでいます。
とはいえ、2005年にアマゾンに本書が現れたときには驚いてしまいました。なぜ今?、この時に?。1955年に亡くなった方ですよ。没後50年記念?。

手元に取り寄せてもその疑問は解けません。亡くなってかなり経ってから、原稿をまとめて発行されたので、通常であれば刊行に至った経緯などの説明があってよさそうなものですが、いきなり当人の言葉から始まっています。著者の日記やメモを遺族が編集したものかと考えたのですが、どうもそうではなさそうです。1953年くらいに出版、あるいは家族に読ませることを目的として書かれたもののように思えます。結局、出版に至らず、最近になって遺族の方が出版社に持ち込んだのではないか、と推測します。(出版社の Booksurge Publishing は自費出版専門のようです。)

ハワイ語関係の著作が多く、また前ハワイ大学の教授でもあったわけですから、なぜ、ハワイ語を専門に研究するに至ったのか、とかその理由は、とかを期待して読むのですが、じつはあまりハワイ語研究や自著についてあまりふれていません。もちろん、回想録ですから少年時代の記述やらかなり詳細に書かれているのですが、読者を楽しませようという発想はないので、読者層はかなり限られているようで、オンラインで書評を見かけません。

タイトルにRev. Henry P. Juddと有るのでお気づきかと思いますが、聖職者でもある方なので、その方面の記述もあります。

とりあえず、本書の表紙に言及します。以前にも書いたことですが、本書の表紙はジャッド家のcoat of arms(日本でいえば家紋)で、カメハメハ三世によって授与されたもの。Dr.Gerrit Parmele Juddのハワイ来布100周年を記念してリプリントされた「HONOLULU SKETCHES OF LIFE IN THE HAWAIIAN ISLANDS」の表紙に使われたものと同じです。裏表紙には著者であるHenry P. JuddがDr.Gerrit Parmele Juddの孫、第三世代であること等の簡単な紹介と表紙に用いられているcoat of armsの由来、デザインの意味などがされています。
honolulu_1828-1861

さて、内容にいきましょうか。まず、少年時代の回想から。
そうそう、じつは彼はハワイ生まれではないのですね。両親がニューヨーク(といっても田舎の方)の母方の叔母を訪ねている間に生まれているのです。ハワイの空気を吸うのは数か月後のこと。
あ、両親の家「ローゼンハイム」についても触れられています。「バラの家」とは「Japanese Beetles」の害を受ける前はバラの花が多く咲いていたために母親が付けた愛称だったようです。Japanese Beetlesとは日本在来種のコガネムシ、マメコガネ(豆黄金)のこと。やっかいな害虫で、今でも欧米の農家、園芸家を悩ませているようで、検索すると多くの記事がヒットします。なんだか申し訳ないような。

あ、いかん。こんな調子で引用していてはいつまでも終わらない。続きはまた別途。

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