「ヒロシマとハワイを結ぶ物語」を読んで

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うねざきまさこさんの「ヒロシマとハワイを結ぶ物語」を読ませて頂きました。

表紙を見て思い出したのですが、僕はこの書を周防大島の日本ハワイ移民資料館で目にしていたかもしれません。僕のしょぼい記憶で確かではないのですが、時間がなく、閲覧できる書籍をすべてチェックすることができませんでした。

本書は26名の日系人に聞き取り調査を行い、その体験をまとめて創作されたものとか。しかし、自分の限られた体験からしてもここで語られるお話は大変リアリティのあるもので、実際に声と顔が頭に浮かんでくるようでした。ここには「おじいちゃん」「おばあちゃん」の体験が会話と手紙という形で表現されているのですが、どう言って良いのでしょう。普遍的なものがあるからでしょうか。自分の親族のことが頭に浮かんできてしまうのです。

自分が以前の「布哇文庫」のことで祖父や父のことをあまり触れなかったのは、血のつながりがあるにせよ、あまりに知識が少なかったことを恥じたことが理由の一つです。日系人の歴史も真剣に勉強してこなかった。(勉強全般が嫌いでしたが)

祖父のことなどを触れるようになってから、今まで思いがけなかったような情報を得る、あるいは人とのつながりを得ることが出来るようになりました。そうなって悔やまれるのは、もっと父からいろいろと聞き出しておけば良かった・・・ということ。父は日常会話はまったく問題ありませんでしたが日本語で感情の機微や記憶の詳細を表現することが苦手であったと思います。(照れもありました。)もっと僕が英語をまじめに勉強すべきでした。(ブログの日本語でさえ、誤字脱字が多いですよね)

本書、「ヒロシマとハワイを結ぶ物語」が英語と日本語併記になっているのは自分にとって、その親子間のギャップを象徴するようにも思えました。もう一つ、重要なのは人から情報を引き出す、聞き出すという能力。これは英語以上に重要な要素であったと思います。僕にはその能力も欠けていました。これが父の体験を、祖父のことを語りきれぬ悲しい点です。うねざきまさこさんの書かれた「ヒロシマとハワイを結ぶ物語」を読んでいますと、著者のうねざきさんがこの力に長けていたこと、そしてそれを伝える努力を惜しまなかったことを強く感じるのです。

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