ラスベガスにハワイを!

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確か以前、Charles Memmingerというユーモアコラムニストの本、”Hey Waiter! There’s an Umbrella in My Drink!” という本をご紹介しましたっけ。彼の最近のコラムのタイトルを見て、この正月あたりに思い描いた妄想を思い出しました。

Hawaii should build a casino in Las Vegas

ここんところかなりの頻度でラスベガスについて話題にしてきましたよね。カリフォルニア・ホテルの本も刺激になったのですが、この一年、もやもやっと頭に浮かんでくる白日夢を振り払うことが出来ないでいます。

以下に書くことはその妄想です。まったく根拠のない、思いつきだけの妄言ですが、吐き出さないといらいらするのでちょっと聞いてやってください。読みにくい上に長文です。

<ファンタジー・アイランズ>

不況になると、いや、不況ではなくともカジノ導入による活性化という話が出てくる。今から書くことはハワイの人々が頻繁にラスベガスを訪れているという、いままでさんざん触れてきたことなどから連想した白日夢です。

景気後退はハワイも直撃、就職率が大幅に下降。ハワイ州政府もグリーン対策などの対策にて景気浮揚を図るも効果は限定的、かつ短期的な効果は望めない。観光客は大幅に減少。リピーターは文化、体験的、エコ関係にはお金を惜しまないが、従来型観光、贅沢品、ブランド品への消費が落ち込む。買い物客はアウトレットモールに集中するようになるが全体の落ち込みを支えるまでは至らない。

ハワイへのカジノ誘致の声が勢いを増す。しかし、治安の悪化を危ぶむ住民、先住民活動家が反対を。ハワイの風土、文化を愛する海外の人々からも批判を浴び、具体的なプランまでは進まない。

職を求め、若者はハワイを離れる傾向が加速する。

そのなか、各地のカジノも不況の影響をこうむるが、歴史を持つラスベガスだけはかろうじて賑わいを維持する。かってのような大規模な開発は行われないが、サービス、治安が劣化したほかのカジノを嫌った富裕層がラスベガスに帰ってくる。

ラスベガスで働くハワイ出身者が多いことに着目したある投資グループが、ラスベガスにリトル・ハワイともいうべき施設を作ることを企画。ひそかに日本のスパ・ハワイアンを見学に訪れる。(この施設を仮に「ファンタジー・アイランド」と呼ぶ)

企画されたこの「ファンタジー・アイランド」はかってのハリウッド映画やテレビに描かれたようなハワイを再現したようなもの。計画発表時には当然、ハワイ先住民のグループなどから批判を浴びる。

投資グループはハワイ出身者からの雇用優先と、伝統文化の継承、パフォーマンスを重視することを改めて表明。反対意見は収まらないものの雇用を期待する声が大きくなる。

数年後、そのアミューズメント施設「ファンタジー・アイランド」がオープン。アメリカ各地から、とくにいままでハワイを訪れたことの無い層からの客を集め、それなりの成功を収める。ハワイ出身者の安定した就職先となる。ラスベガスはもともと馴染みある土地柄であるし、上司がハワイ出身者のこの仕事、他の本土の就職先よりも安心できるのだ。

一方、ハワイでは若年層が離れたため、平均年齢が上昇。老齢者に対するサービスが手薄になる。リタイアして本土からハワイに移住した層はそれなりの対価を払ってサービスを享受するも、それ以外の地元の人々は、続く不況下にあって生活がままならない。

アメリカ本土に「出稼ぎ」に出ていた人々が家族を呼び寄せようとしても、ハワイとの風土、生活習慣の違いからトラブルになるケースも発生。しかし、ラスベガスはその歴史と出身者が多いことから比較的容易に馴染むことが出来、やがて高年齢のハワイ出身者も多く住むようになる。

ラスベガス近郊にハワイ出身者が多く居住する「ハワイタウン」と呼ばれる地域が発生。お年寄り達が出身地のライフスタイルのまま生活をするようになる。この「タウン」では会話もハワイ訛りのまま。

時を経てやがてその地域の様子がハワイのローカルタウンそのままの様相を示すようになり、それがマスコミで報道される。やがてラスベガスの新しい観光地として有名に。ラスベガス中央にある本体の「ファンタジー・アイランド」からのシャトルバスが出るようになる。

町のレストランではハワイのローカルフード、サイミンなどを食すことが出来、やがて名物レストランも。グルメガイドブックも刊行される。おもに観光客目当てでパシフィックリムを継承する高級レストランも開業。この町に住む住民達もいつしか観光客の目を意識し、ローカル生活を演じるようになったりする。もちろん、それを嫌う人もいるが、遠くに離れることが出来ない。

一方、ハワイでは過疎化、老齢化が急速に進む。リタイアしハワイに移住した層へのサービス業は盛んになるが新たな産業、事業はなかなか起こらない。廃業された観光施設、途中で途絶した観光開発をめぐり先住民からの変換要求が激しくなる。これを機に伝統的な生活に回帰しようとする運動が盛んになる。

政府は折衷案としてそういった設備を先住民に貸し出し、住居の生活を支援するとともに観光客が伝統文化を経験出来るような場を設けることを提案。根強い反対が残るまま、活動がスタート。日本からの熱心な見学者が訪れる。やがて古来の航海術を教え、体験するコースも生まれる。

観光業の衰退とともにハワイ州はエコ関係、グリーン事業に力を注ぐ。とくに電気自動車開発の実験基地として自動車メーカーの誘致に成功。最初はラナイ島にて電気自動車を全世帯、観光事業者、レンタカー業者に供与、ガソリン車を駆逐。この運用実験が世界の注目を集め、やがて全島に広がりを見せる。特に近辺への買い物しか用途の無い老齢者の多い地域では急速にひろまる。

電気自動車の広まりとエコへの関心の高まりから、従来のエネルギー消費への反省の機運が高まる。例えば効き過ぎとも思える空調が控えめに。暑さを凌ぐための先住民、日本、フィリピン、韓国、中国などの昔からの工夫を紹介する「暑さを楽しむ」展がビショップ博物館などで開催される。

今までハワイでは野菜類などを本土、海外からの輸入に頼っていたが島内での生産を助成する動きもあり、農業従事者、農地が急速に広まる。世界各地から集まった人々の中には自給自足しながら創作活動を行う芸術家の姿もある。従来の植生への影響など新たな問題も発生したが、新技術を用いたプラント型農業が不要となった観光施設、物流施設にて行われるようになり生産性が大幅に向上することになった。

ラスベガスの仮想ともいうべきハワイに触れた層から、「本物の」ハワイを訪れる人々が増えてくる。そういった層は健康的な素材を用いた食事を求めるため、従来農法、無農薬の素材を用いたレストランも盛んになり、プラント農業と自然農業それぞれ共存することになる。やがてハワイ産=高級ブランドとなり、(コーヒーのコナのように)高価な値段で取引されるように。

景気の回復とともに観光事業も再生を見るが、21世紀初頭とは異なる価値観、環境のもと文化寄り、自然寄りの傾向がより強まる。人口も回復しつつあるが、ラスベガスのように外部への拡散と新移民の流入により、数十年の間に大きな入れ替えが発生。保守?的な先住民が核として残る傾向が強かったため、地域の精神的な柱として先住民の占める位置が相対的に大きくなっていく。(世界各地でカジノ誘致を行った場所はほとんどが経済的にも治安の件でも失敗に終わり、強行に誘致に反対した先住民、ハワイ州民の先見の明が評価されることに)・・・・。

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