遠い祖国~ブラジル日系人抗争の真実~

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録画しておいたNHKの番組、「遠い祖国~ブラジル日系人抗争の真実~」と「長い旅路~日本兵になったアメリカ人~」を続けて視聴しました。とりとめのないことをまた書かせてください。

以前、移民を「棄民」と表現することに反発したことが有りましたが、今回、「遠い祖国~ブラジル日系人抗争の真実~」を観て、まさに移民は「棄民」扱いを受けたのではないか、と憤りを。

この事件については映画「けがれた心」を観て以来、より詳しく知ろうと思ったままほったらかしに。今回の放映、有り難く思います。限られた情報の中で祖国の思いが、掛け違いでこのような悲劇につながるのですね。いったん心にフィルターがかかると同じ情報に接触しても、受け取り方がまったく違ってしまう。あるいは見えるべき物が見えなくなってしまう。

インターネット等で様々な情報に触れられる現在でも、いったん心にフィルターがかかってしまうと見たい情報しか見えなくなってしまいますね。

両方の番組を観て思いましたが、やはり生まれたところが「帰るべき」ところなのだろうと思いました。ブラジル移民の一世にとっては騙し見捨てた日本という国が、それでも帰るべきところだったのでしょうし、それがその時の境遇や周囲の環境等で二つに大きく行動を分けてしまった。

「長い旅路~日本兵になったアメリカ人~」は昨年、前篇を見逃して後篇の一部しか観れなかったのだと記憶しています。前篇に登場したミヤサト一家の話はかなり前に「ザ・世界仰天ニュース」という番組で「ハワイの日本人の悲劇」として取り上げられていました。字幕で出ていましたが「引き裂かれた家族」(原題:Our House Divided: Seven Japanese American Families in World War II)にも詳しく。

またハワイ大学のステファン教授が彼らの歴史にもっと光が当てられるべきと語っていたのが印象に残っています。そういえば教授の著書「日本国ハワイー知られざる「真珠湾」裏面史」(原題:HAWAII UNDER THE RISING SUN:Japan’s Plans for Conquest after Peal Harbor)で、ハワイの「勝った組」について触れています。

ハワイ在住の一世のほとんどは、1945年8月の出来事を現実として受け入れることを心理的に拒否していた。p.269

そういう人達の心情につけこんで金をだまし取る「山師」もいたとのこと。ハワイの「勝った組」の一つ「布哇必勝会」が正式に解散したのは1977年11月17日だったそうです。p.271

external-link-16Kachigumi (The Densho Encyclopediaから)

「勝った組」あるいは「勝ち組」については牛島秀彦さんの著作や下嶋哲朗さんの「豚と沖縄独立」に詳しい記述があります。「豚と沖縄独立」によればブラジルなどの勝ち組では情報に飢えており、「布哇必勝会と連絡を密にとった」そうです。

南米ブラジル奥地の勝ち組は殺人など、悲劇的末路へ突き進むのだが、そのよりどころはアメリカ太平洋艦隊の足許、ハワイからの情報操作にあった。p.33

「長い旅路~日本兵になったアメリカ人~」中で「二重国籍」というキーワードが出てきます。この「二重国籍者」、双方の国で排斥、疑いの眼で見られることになるのですが、ある方がその経験を経ても、次のような発言をされていました。「すべての人が二重国籍の視点を持てば、国家間の諍いは無くなるのではないか」。正確な引用ではなく申し訳ないのですが、これが強く印象に残っています。つまり、双方の立場の視点で物事を観る視点が有れば、争いを起こす気にならないであろうということですよね。

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