「排日戦線を突破しつゝ」

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相変わらずディジタルの大海でアップアップ溺れています。あまり長いことパソコンの前に座っていられなくなっているので、本当に息も絶え絶えなのですが。

国立国会図書館ディジタルコレクションの一部で、特定の条件を満たすものがインターネットで閲覧できるようになっています。河村幽川著「排日戦線を突破しつゝ」がその一冊。著者は本土西海岸で活躍したジャーナリストで西海岸の日系社会に関する著作が有ります。しかし、ハワイの日布時事にも頻繁に寄稿されていたようで、本書にはハワイに関わる内容が多く収められています。最後の方には祖父の名前もちらと出てきます。

「排日戦線を突破しつゝ」

出版年が1930年ということで、今まで触れてきた日本語学校問題、マイルス・フクナガ事件に関する記述は多いに参考になります。

ここに有るとおり、マイルス・フクナガが「ロープ及びレオポルド事件」も参考にこの悲しい事件を引き起こしたようで、罪のない少年の命を奪ったこの事件を日系の若い青年が引き起こしたと知ったときの日系社会の衝撃はいかばかりかと思います。著者はなんとか、彼の行動への理解に努めようとしているのですが、正直、浅海の眼から見るとかなり無理があるように思います。当時の日系社会ではどうだったでしょう。

http://youtu.be/dvIPLuu7iI0

そして、フクナガ事件と並べて語られることの多いマッシー事件に関わるクラレンス・ダロウがこのロープ、レオポルドの弁護にあたり、両名を死刑から救っているのですから、歴史とは皮肉なことです。

Clarence Darrow Digital Collection

さて、本書の最後に日布時事、布哇報知がライバル関係として切磋琢磨するのを(いささか加熱気味になるのを懸念しつつ)うらやましく紹介しているところも面白いところです。日布時事に寄稿されている方なので、そちらへの肩入れはあるものの、この二紙を読み比べることのできるハワイ日系社会が恵まれているという認識を持たれていた模様。

 

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