GREAT GRANDFATHER’S DRUM

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曾祖父から引き継いだ太鼓の演奏を引き継ぐある女性を中心に、ハワイ日系人の歴史を描く「GREAT GRANDFATHER’S DRUM」のDVDを観る機会がありました。

http://greatgrandfathersdrum.com/

約一時間のドキュメンタリーですが、「マウイ太鼓」の物語を縦糸にハワイ日系人の歴史が見事に纏められています。日系人とその家族についてのインタビューはオーラル・ヒストリーとしても貴重だと思います。移民直後の貧しい生活、第二次世界大戦による文化の否定、戦後の日系人の新しい世代はインデンディティ確立の手段として、ルーツである(一旦は否定された)日本文化によりどころを求めていきます。

ある意味、ハワイの文化復興(ルネッサンス)と共通する要素があるように思うのは表面的にすぎるでしょうか。

日系人すべてが同じ思いを抱いているというのは間違いでしょうし、日系人を同じくくりで観るのは誤りのもとと思います。また、彼らの日本文化への視点はどこか日本人が意識しているそれとは微妙なずれがあることが、ドキュメンタリーの映像からも感じるように思います。

大変密度の濃いドキュメンタリーですが、加えて、このマウイ太鼓のルーツが福島であることで、大震災後の今、制作者の意図しない新たな意味がこの映像作品に加わることとなりました。マウイ太鼓の継承者がチームを引き連れて福島を訪れる他、広島をも訪れているからです。彼らが語るべきことのひとつに、福島を含め今の日本が直面することも追加されていくのでしょう。

良かれ悪しかれ、日本、日本人の取る選択が、今後もハワイの彼らの運命、日本への視座も左右してしまうかもしれません。

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