旧神戸移住センター

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先週の金曜日に神戸に行ってきました。仕事上なんどか神戸には足を運んでいたのですが、なぜか海側に足を運んだことが無く、時間があれば海を眺めてこようとは思っていました。

当日はホテルに一泊、翌日の金曜日は幸いに晴天で、メリケン・パークまで足を運びました。そこで見たのが「希望の船出」という像。おお。この像を見るまでこの神戸が海外移民、特にブラジル移民の基点であったことをすっかり忘れていたのです。

その足で、北野(異人館街)はずれにある旧神戸移住センターまで歩きました。この移住センターについては中公新書の「船にみる日本人移民史―笠戸丸からクルーズ客船へ」に詳しく紹介されていたと記憶しています。そう、ブラジル移民を前に船の生活、そして海外の生活に慣れさせようと設立された施設であり、ポルトガル教育はもちろん、日常生活の指導、健康管理、おどろくべきは船上生活に慣れさせようと船室を模した宿泊施設まで用意されていたとか。この「船にみる日本人移民史―笠戸丸からクルーズ客船へ」を読んでいつか訪問を思ったのに、頭から抜け落ちていました。

いや、驚きました。この建物、あの関西大震災にも倒壊することもなく、市民の手で綺麗に整備され、つい先日の2009年6月3日に「海外移住と文化の交流センター」として生まれ変わっていたのです。

一階から二階まではかってのこの建物と移民たちの生活、ブラジル移民の歴史を振り返る展示に使用され、その他のフロアは海外文化の紹介、主にブラジル文化、在日ブラジル人の人々との交流の場、それにとどまらずアーティスト達の発表の場としての役割を果たしているのです。いや、本当に感銘を受けました。

展示の品々は多いとはいえませんが、これからでしょうし、数が多ければ良いというものではありません。新しいだけにビデオ映像をうまく生かした展示はよく整理されていると思います。また、ブラジル文化を紹介するという役割に、どこかハワイの日本文化センターと同じ空気も感じさせるものがあります。

http://www.youtube.com/watch?v=lz5JCpmS7PY

日本人を海外、ブラジルへ送りだす基点となったこの場所は、いまやブラジルをはじめとして海外から日本に来た人々の交流の場として生まれ変わりました。

かって移民を多く送り出してきた日本は、数年前から海外の人々を受け入れる国になってきています。経済状況の悪化、治安の問題を経て、現在の日本では外国人排斥の動きが活発になっているようです。僕はこれが残念でなりません。日系移民は海外で苦労をしてきましたが、それでも受け入れられ、かの地で尊敬の目で見られるようになってきています。それは排斥の一方で彼らを受け入れようという気持ちがあったからであることを忘れてはならないと思います。

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