「ゴー・フォー・ブローク -日系二世兵士たちの戦場-」

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渡辺正清著「ゴー・フォー・ブローク -日系二世兵士たちの戦場-」が光人社NF文庫に収められました。

著者は日系人退役軍人達の戦歴を振り返るヨーロッパ旅行に同行、歴史と兵士達、日系人たちの苦闘を描き出す。静かな文章でありながらその戦闘のすさまじさが伝わって来ますし、同時に彼ら退役軍人を迎えるヨーロッパの人々の彼らへの感謝の念の強さ、尊敬、畏敬のまなざしに心熱くするものがあります。

本書で考えることは多々ありました。

・ドウス昌代さんの本でも感じたことでしたが、指揮官である韓国系アメリカ人のキム大佐のリーダーとして、そしてなにより人間として尊敬しうる方であることを再確認しました。

・同じ時代、同じ背景に置かれたとき、僕は同じように戦えたでしょうか。いや、胸に手を置くまでもなく、僕は恐怖におののきなにも出来ないでしょう。なんとか、戦場から逃げることしか考えなかったでしょう。

・本書に登場するサカエ・タカハシさんのこと、昔、布哇文庫のあるページで、もっと知りたいと書いていました。なぜ、そう思ったのかはリンク先にあります。もうちょっとよく調べればハワイ州の州下院議員にまでなられた方であったことは当時でも判っていたはずでした。ただ、本書によってよりその人物を知りえたことになります。サカエ・タカハシさんは2001年に亡くなりました

・手榴弾の上に身を投げ出し、わが身を犠牲として戦友の命をすくったサダオ・ムネノリさん。本書においても大きな位置を占めます。戦後、彼に授与された勲章を受けたのはマンザナ収容所から出所したばかりの母親であったそうです。以下にマンザナ収容所で行われた催しの動画を引用します。挨拶をする女性は本書にてヨーロッパ旅行に同行したサダオ・ムネノリさんの実姉、横山八重子さんの娘、つまり姪にあたる女性です。(著者にムネモリさんの思い出を語る姪、ジャネットさんと同一人物と思いましたが、違うようです。)残念ながら僕の語学力ではすべて理解することは出来ませんが、それでも、胸打たれるものがあることには同意して頂けると思います。

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